地盤調査

  • スウェーデン式サウンディング試験
  • ボーリング調査

スウェーデン式サウンディング試験詳細情報

このページに記載されている情報は多少の専門知識を必要とします。予めご了承ください。

9. 盛土の地盤計測

建物の不同沈下障害の多くは盛土に起因します。使用される盛土材には土木工事等によって発生する残土が使用される場合もあり、盛土中に大小の礫や時としてガラ片等を混入することもあります。

このような盛土地盤において、その地盤状態を把握することはスウェ−デン式サウンディング試験という調査方法を考えた時、場合によっては地盤判断に大変な間違いを生ずることがあります。

これは盛土自体が、従来地盤に比べて不確実な要素を多く含んでいることに起因するもので、盛土地盤を扱う場合においては、調査担当者の能力(経験・知識)に大きく依存することも事実です。以下に盛土地盤に対する調査留意事項を掲げてみました。

1. 盛土の締まり

スウェ−デン式サウンディング試験は他の調査方法に比べ簡易に地盤の硬さ程度・緩み程度を連続的に調べることが出来るという長所があります。しかし非常に良く締った場合や礫またはガラ片等にスクリュ−ポイントが載った場合は空転状態となり、これを回転数(Nsw)として取り扱う危険があります。先端が小石などで、噛んだ場合等は回転抵抗は増大しこれを非常に良く締った状態と誤認する危険もあります。現場調査員は試験時の感触を含めた詳細な記録を残すべきです。

特に、第三者(=他の地盤調査会社)が整理したサウンディング試験デ−タだけを頼りに地盤判断を下すことは相当に危険です。このようなデ−タを見た場合、現実の地盤状態とかなりかけ離れた認識となる恐れがあり、うかつな判断は不同沈下事故につながることを銘記すべきでしょう。

2. 貫入時の感触

スウェ−デン式サウンディング試験における回転貫入層は原則として25cm貫入に要した半回転数量を測定することで、その深度における地盤の状態を調べることが出来ますが、盛土地盤においては25cmという僅かな厚さにおいても貫入状態が一様であるとは限りません。  例えば上部10cm程が15半回転数で、下部15cmが自沈(無回転貫入)した場合、単に合計した半回転のみ記述することは避けるべきです。また、盛土部位での自沈部においてはガサツキ感を伴うか否かは極めて地盤判断の上で重要です。これは盛土中の空隙の程度を感覚的に把握することです。

3. 土中空隙の確認法

地盤表層に良質土が被覆してあるような場合で貫入不能部位が多くみられたら、ガラ片等の悪質土が使用されているケ−スが多いので十分な注意が必要です。

盛土に軟岩やガラ片等の混入する可能性がある場合(一般に軟岩盛土は打撃による貫入は可能となりますが、回転による貫入は多少の抵抗はあるものの貫入程度は僅かである場合が多い)はロッド引き抜き後、貫入孔より注水することで空隙の度合いを確認することが出来ます。

この方法は時に、地下空洞の確認法としても役立ちます。不審な軟弱層が見られた場合、ハンディポンプ(石油スト−ブなどの付属ポンプ)で注水してください。通常水は地表面にすぐに浮き上がってきますが、その浸透度合いが急激な時には、空洞を凝って見ることです。バケツとハンディポンプは盛土調査の必携品です。

4. 土質の観察

自沈または自沈相当の軟弱部位が土中に存在する場合は、ロツド引き抜き時においてロツドに付着する土の色および臭いを確認することで、産廃土等のチェックが可能となります。

周辺の従来相当地盤に露出する土と現場表土を比較観察することは調査の第一歩であり、盛土法面部位に露出する土の観察も調査の一つです。